報道写真家志望だった僕がソーシャルビジネスを立ち上げるわけ
はじめまして!廣瀬智之です。
今年の春に関西の大学を卒業し、
「社会問題の解決を他人任せにしない世界」を作るためのソーシャルビジネスを立ち上げ中です。
廣瀬智之とは一体何をしている人なのか、
しっかりと説明できるよういしておきたい!と考え、
自分のブログで簡潔にまとめようと思います。
「知るだけでは世界は変わらない」、報道活動で感じた課題
もともと社会問題に関心があり、
解決のために自分ができることをやっていきたいという想いは持っていました。
大学生の間に、国際ボランティアをしたり、タイダイ染めのブランドをカンボジアでやってみたりと、様々な手段にトライしていましたが、
その中でも、最も力を注いだのが「報道写真家」としての活動です。
キッカケとなったのは、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんを知ったこと。
安田さんの著書を読み、自分のするべきことはこれだ!と思い立ち、
気がつけば東京に安田さんに会いに行っていました。
そんなきっかけとなった安田さんに紹介してもらった取材地、
カンボジアの地雷原が僕の初めての取材地でした。
それからはカンボジアやフィリピンなどの東南アジアを中心に取材活動を続けていました。
日本には届いていないような、社会の影に光を当てる報道写真家という仕事にやりがいを感じていましたし、
何より先輩報道写真家の社会問題と向き合い続ける姿勢に惚れ、
自分もそんな人になりたいと考えていました。
そんな報道写真家としての活動を振り返るキッカケをくれたのは、
南太平洋に浮かぶ、とある小国に取材に行ったことがきっかけです。
気候変動で海に沈む「キリバス」という国へ
2016年11月に、僕は南太平洋に浮かぶ「キリバス」という国へ行きました。
キリバスは気候変動の影響を大きく受けているといわれる国で、
早ければ30年以内に居住ができなくなるかもしれないとの調査結果も出ています。
満潮で浸水した村で遊ぶ子どもたちーキリバス、タラワ(写真 廣瀬智之)
多くの人が知っているかと思いますが、
気候変動は私たち日本人も無関係ではいられない問題です。
気候変動を引き起こす原因の一つに、過度な経済活動による温室効果ガスの排出があります。
つまり経済大国である私たちの暮らしが、
遠く南太平洋に浮かぶ小国を奪おうとしている状況とも言えます。
「キリバスで起きていることを知りたい」。
そう考えた僕は、実際にキリバスに暮らしながら、政府機関に取材をしました。
キリバスに生きる人の声を聞き、
どうにかこの国で起きていることを多くの人に知って欲しいと思いましたが、
その時僕は、「伝える」ことだけで、
この問題を解決するイメージがどうしても持てなかったのです。
報道写真の役割は、あくまでもその問題を認知させること。
認知した人が、意識や行動を変え、問題解決に関わることで、
初めて社会は変わると考えます。
ですが、ただキリバスで起きている問題を伝えても、
縁もゆかりもない日本の人たちが、南太平洋の小国のために行動を変えるというのは、
かなり難しいことだと感じました。
つまりは「知る」だけでは社会は変わらない。
報道写真の活動をしていたものとして、そんなことを考えるのは一種の諦めともとれるかもしれませんが、僕にはもっと有効な手段があると思わざるを得ませんでした。
満潮時にじわりじわりと海水がしみてくる村もあるーキリバス、タラワ(写真 廣瀬智之)
報道写真家になることをやめ、社会起業家へ。
「知る」だけでは社会は変わりません。
とはいえ、すべては知ることから始まるというのも事実です。
しかしながら、今どれくらいの人が、
社会で起きていることを知っているでしょうか?
日本にも社会問題や戦争の現場に足を運び、
そのリアルな実情を伝えてくれているジャーナリストの人たちがいますし、
報道の世界では、高い評価を受けている人も少なくありません。
しかしながら、それだけ実力のある人でも、
その声は情報過多なこの時代では届いていないのです。
あまりにも社会や政治、この国で起きていることを知らない人が多い。
いくら価値のある情報を発信しても、知ってさえもらえない。
この状況に気付いた時に、改めて自分は何をするべきなのかを考えました。
そして出した答えが、
情報を発信する人になるのではなく、情報を受け取り、行動に移す人を増やすということです。
報道写真家はもうたくさんのプレーヤーがいます。
その一人になることもひとつの手段だと思いますが、
ある意味プレーヤーがいるならその人たちに任せられるとも言えます。
どうすれば情報を受け取り、行動する人を増やせるのか?
それに適した手段を探したときに、見つけたのが、「社会起業家」になるという選択でした。
社会問題解決が「他人任せ」になってしまう現状
情報を受け取り、行動する人を増やす。
すなわちそれは、社会問題解決に関わる人を増やすということです。
社会や政治で起きていることを知らない人が多いと、先ほど書きましたが、
実はそれには明確な根拠があります。
日本は欧米諸国や韓国と比較をした時に、
選挙やボランティア、寄付などといった社会的な行動をとる人が少ない状況にあります。
例えば、選挙の投票率。
下のグラフは衆議院選挙における年代別の投票率の推移を示しています。
昨年の衆議院議員選挙の投票率は53.68%と、およそ2人に1人しか選挙に行っていない状況にあります。
ちなみにこれは戦後2番目に低い数値とされています。
(引用:明るい選挙推進協会 )
一方で、欧米諸国はどうでしょうか?
(引用:明るい選挙推進協会
こちらが北欧のスウェーデンとの投票率の比較です。
全年齢の投票率は80%超え。
日本と大きく差が開いていることが分かります。
また選挙以外の社会的な活動を見ても、
参加する人の割合は少ない状況にあります。
(引用:低下する日本人の政治的・社会的活動意欲とその背景、NHK)
では、日本人が世界的にみて意識が低いのか?というと、
そうは思いません。
様々な要因があって、
社会問題解決に関わる人が増えない現状が日本にはあると考えています。
社会問題解決を他人任せにしない世界を作る3つの軸
社会問題解決に関わる人が増えない要因とはいったい何なのか?
僕はこの問題を大きく3つの軸に分けて、捉えています。
一つ目が、「認知」の軸
文中でも書きましたが、すべては知ることから始まると考えています。
よく日本人は社会に無関心だという人がいますが、
僕はそうは考えていません。
本質は無関心なのではなく、そもそも知らないだけ。
社会や政治のことをよく知らない、わからないなど、自分の意見を持っていない人が多いと考えています。
要するに、無関心ではなく「未認知」なのです。
知らないものに問題意識を持つことはもちろんできません。
まずはこの認知の壁を破り、社会に対して自分の意見を持つ人を増やしていく必要があります。
そして二つ目が「自分事化」の軸。
認知したことのすべてを自分事として捉えるわけではありません。
僕たち人間は関わりがないものに強い関心を持つことはできないと考えています。
特に社会問題や政治は、日常の中で関わることが少ないものです。
直接的な関わり、接点を持つことで多くの社会問題を自分事化する必要があります。
例えばスタディツアー事業や、教育事業を通して
社会問題と直接関わる機会が提供できるのではないでしょうか?
そして最後が「行動」の軸。
自分事化をしたからとはいえ、身近に行動先がない状況では、
社会問題解決に関わることは難しいと考えます。
主体的にボランティア活動や、市民活動などで社会参加することは素晴らしいことですが、それぞれの生活がある中でそれを強いることは、かなり酷なことではないでしょうか?
そもそも、です。
社会問題解決に関わる人が少ないのは、社会システムが悪いという考え方もできるのです。
社会問題解決につながる行動がより身近であれば、行動する人はもっと増えていくのではないでしょうか?
例えば、選挙に行く人が少なくなってきているのに対して、
主体的に選挙に行く人を増やす人を増やすことも素晴らしいですが、
選挙のあり方を考える。つまりは選挙に参加するハードルを下げるという考え方もできるわけです。例えばインターネット投票はその例の一つだと思います。
このような考えで、社会問題解決に関わる方法をより身近にする必要があると考えています。
この①認知、②自分事、③行動の3つの軸、それぞれの課題を解決する事業を展開することで、
社会問題解決に関わる人をどんどん増やしていきたいと考えています。
事業の目的は「社会問題の解決を他人任せにしない世界」を作ることです。
そのための第一歩として年内に、「認知の壁を破り、社会に意見を持つ習慣を作るニュースアプリ」をリリースします。
サービスの詳細については、今後アップしていこうと思っているので、
こうご期待ください。
今回はここまで。
廣瀬 智之(ひろせ ともゆき)
社会問題の解決を他人任せにしない世界へ。#新卒で社会起業家 に挑戦中。元開発メディアganas記者。「日本の社会・政治参加意識を高めるメディア事業」立ち上げ中です。
私立・公立高校やイベントで講演の依頼をいただいています。
これまでの取材写真や動画を用いて、社会問題、国際理解の講演を承っています。
講演依頼はこちらから
tomoyukihirose1234@gmail.com