幸福度調査世界一常連のフィジーが幸せな6つの理由【動画あり】
世界幸福度調査で、世界一位を何度も獲得している
“超幸せ国家”があることを皆さんは知っていますか?
米調査会社ギャラップ・インターナショナルが毎年12月に実施している幸福度調査は、
調査対象者が、今の生活を「とても幸せ」「幸せ」「どちらでもない」「不幸せ」「とても不幸せ」の5段階で答えるもの。
その国は最新版調査でも世界一に輝いたばかり。
調査対象者の94%が幸せだと答え、不幸せと答えた人はたったの2%でした。
その国こそ、大洋州に位置する島国、「フィジー」です。
なぜフィジーは世界で最も幸せな国とされるのでしょうか?
本記事では、その理由を筆者の調査と実体験をもとに、解説していきます。
100人に聞いて分かった、フィジー人の幸せの価値観
2016年、報道写真家の活動をしていた私は、
大洋州諸国の暮らし、文化に関心を持ち、
6月~1月までの8か月間、
フィジーを拠点に、キリバス、バヌアツといった国を取材していました。
その中でも最も関心を持っていたのが、
フィジー人の価値観。
それを追うために8カ月の間、
フィジー西部ナンディに暮らすキカウさん一家にお邪魔し、
1人の家族として生活をしていました。
100人のフィジー人に街頭インタビュー
2016年11月。
フィジーの玄関口である西部ナンディで、100人のフィジー人に、
「What is your happiness?(あなたにとっての幸せとは?)」という調査を実施しました。
前情報を与えておきますと、ナンディはフィジーの中では、かなり発展しているエリアです。
国際空港があり、観光客がよく訪れることもあり、
マクドナルドやバーガーキングなどの外資企業も多くあります。
また郊外と比べ生活コストも高いエリアです。
そんな繁華街のナンディで調査を実施したところ、
回答にはとある共通点がありました。
フィジー人にとっての幸せは「人」
調査をした100人のフィジー人の内、
なんと61人の人の回答が「人」に関するものでした。
実際にあった回答は、家族(24票)、人付き合い(16票)、友達(14票)、新しい人との出会い(5票)、フィジー人であること(2票)。
そして驚くべきことに、
お金やモノに関する回答がひとつもありませんでした。
今回繁華街のナンディで調査をしたのには、とある理由がありました。
フィジーの郊外では、農業や漁業に従事する人が多く、
半自給自足的な暮らしを送っている人が多くいます。
暮らすことに比較的コストがかからない郊外で調査をしても、
お金やモノなどの回答は得られないことが予想できました。
よりリアルなフィジー人の価値観を知りたい。
そんな理由から本調査地をナンディにしたのですが、
それでも今回の結果が出たのは、非常に驚きました。
では「人」がフィジー人の幸せにどのような影響を与えているのでしょうか?
ここからは自分の実体験をもとに解説していきたいと思います。
フィジーが世界一幸せな6つの理由
1.モノを共有する「ケレケレ」という文化
とある日のことです。
朝起きて、身支度をしている時にことは起こりました。
日本から持ってきたヘアジェルをあけると、中身ががっぽりとなくなっているのです…!
「おかしい、昨日までまだパンパンに入っていたのに」
そこで私は一緒に暮らしているキカウ家族のママ、
ツポウさんに聞いてみることにしました。
「ツポウ、僕のヘアジェル知らない?」
するとそこには、髪の毛をてかてかにきめたツポウさんが立っていたのです。
「トモのヘアジェル、使っちゃったわよ♪」
「え!?なんで? あれ僕のって知ってるでしょ?」
「なんでって…いい臭いだったからよ♪」
「・・・。」
これはモノやお金を共有する「ケレケレ」という文化の一例です。
かつて国が貧しく、モノが少なかった頃に
住民間で助け合う文化が根付いたとされています(※諸説あり)
フィジーで暮らしている間に、
携帯電話や靴(サンダル)、傘、お菓子などたくさんのものをケレケレされました。
携帯電話に至っては、気がつけばツポウさんの弟のモノになっていたのだから驚きです。
持っている人が足りていない人に分け与える。
フィジー人はそうやって助け合って生きています。
幸福心理学の研究では、「利他的な人ほど、幸福度が高い」という調査結果も出ています。
人と助け合うことが、フィジー人の幸福度を高めるのに一役買っているのではないでしょうか?
(お隣に醤油を借りる母ツポウさん。こうした光景は日常茶飯事)
2.空気は読まない、細かいことは気にしない
フィジーで暮らしていた時、いかに自分が日本で空気を読んでいたのかを思い知らされました。
「今この話をしていいかな」
「疲れたけど、帰るって言いづらいな・・・。」
「本当は食べたいけど、遠慮しとこう」
などなど。
空気を読む行為は日本では一般的ですが、フィジーでは空気を読むことが本当にばかばかしくなってきます。
あたまのアフロにペンをさして歩いていたり、
イヤホンで音楽を聴きながら歩いているのに、「ライター持ってへん?」と聞いてきたり、
基本的に何をするのも自由、細かいことは気にしない!
そんな価値観を持っている人が多い気がします。
(バスでお皿を広げて食事をする女性)
3.今を楽しむ国民性
フィジー人は今を楽しむことに長けている国民性だと思います。
例えば、リオオリンピックでラグビーフィジー代表が、決勝に進出した時、
決勝戦では銀行も業務を停止。笑
みんなで試合を見守りました。
(ちなみにフィジー代表はその後金メダルを獲得。歓喜のあまり、政府は7人制ラグビーにちなんだ7ドル札を発行しました…笑)
また、工事現場にはダンスをしながら車を誘導するおじさんがいたり。
仕事中にカバ(フィジーの伝統飲料)を飲む人がいたりと、
過去でもなく、未来でもなく「今」を大切に生きている人が多いです。
4.人類みな兄弟的な人間関係
またまたとある日。
僕はバヌアツの取材帰り、ナンディに着いたのは夜中でした。
家の鍵を持ってくるのを忘れた僕は、
ナンディにあるマクドナルドで夜を明かすことにしました。
しかしマクドナルドでチーズバーガーを頼んだ後に、
まさかのマクドナルドがその日は24時間営業ではなく、12時閉店ということが店員から告げられました。
「今日、どうやって夜過ごそう・・・。」
諦めてホテルを取ろうかと考えていた時、
マクドナルドの店員さんが話しかけてきました。
「日本人?どうしたの?」
「それが、カギを忘れて、家にはいれなくて・・・。」
「困ったわね・・・。良かったら家に泊まる?」
「ふぇっ!?」
軽すぎて、はじめは襲われるのかとびくびくしていましたが、
結局その人の家にお世話になることに。
温かい寝床を与えてくれ、次の日は朝ごはんも用意してくれていました。
いつもはのんびりと、マイペースなフィジー人ですが、
人とつながるスピードだけは光速です。
バスで隣の人に話しかけられたり、
通りすがりの人に「ライター貸して」と言われたり、
まさしく人類みな兄弟な価値観を体現している国だと感じました。
幸せの回答に「人」が多いのも、納得です。
(家に泊めてくれた家族)
5.家族を大切にする文化
調査結果で最も多かった回答が「家族」。
フィジー人(フィジー系)はほとんどがキリスト教徒。
そのことから、家族や親せきとの関係をとても大切にします。
また家族の定義が広く、遠い親せきのことも「Family」と紹介します。
週末になると、家族で協会に行き、
少し贅沢なお昼ご飯を食べる。
お昼にはみんなで輪になってティータイムをします。
また、遠方から親せきがよく遊びに来たりもします。
キカウ家族のみんなに、
「来年から社会人になるから、実家を出て一人で暮らしていかなきゃいけない」と話したときに、ぽかーんとされたことがとても印象に残っています。
フィジーでは家族は一緒にいるべきもので、
その関係こそが、幸せなを作っている大きな要素なようです。
(日曜日、伝統料理「ロボ」を作るキカウ家族)
6.幸せとは生きる目的そのもの
インタビューをしていた時、
「あなたは今幸せですか?」と聞いていたのですが、
開口一番「Why not?(もちろん!)」と笑顔で返されました。
とある女性の回答で、
「幸せとは人生そのもの。幸せがないなんて、そんなの人生じゃない」という回答がありました。
フィジー人にとって幸せとは生きる目的そのものです。
幸せになるために生きているのですから、
細かいことは気にせず、また未来に不安を抱えるのでもなく、
今をみんなで手を取り合って幸せに生きています。
フィジー人はたくさん食べる人が多く、太っている人が多いのですが、
「健康に気を使わなけばいけないよ」というと、
「健康になるために生きているのではない」と返されました。
まあ、これはよくも悪くもですが・・・。
(シンガトカのマーケットで声をかけてくれたおじちゃんたち)
フィジー生活を振り返って
いろいろとフィジー人の価値観や文化を紹介してきましたが、
フィジーで暮らした日々は僕にとって、本当に幸せな日々でした。
日本で過ごしている時、「人」が作る幸せを意識することなく生きてきましたが、
改めていかに人と過ごす時間が幸せかを痛感させられました。
人を大切に、持っているモノは分け与え、そして今を楽しむ。
それだけで幸福度は何倍にも膨れ上がりそうです。
みなさんもぜひ、南太平洋に浮かぶ、
幸せ先進国に足を運んでみては?
(了)
廣瀬 智之(ひろせ ともゆき)
社会問題の解決を他人任せにしない世界へ。#新卒で社会起業家 に挑戦中。元開発メディアganas記者。「日本の社会・政治参加意識を高めるメディア事業」立ち上げ中です。
私立・公立高校やイベントで講演の依頼をいただいています。
これまでの取材写真や動画を用いて、社会問題、国際理解の講演を承っています。
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