「損」と「得」の概念が生まれたのはいつだろう
これまで撮影した写真を公開しています!
「損」と「得」の概念が生まれたのはいつからだろう。
生きている中で無意識に判断の軸となっているこの概念
誰だって自分が損するのは嫌なもの。
得をするのは嬉しいもの。
もしもそんな概念関係なく、
ただ目の前の人のために動くことが「当たり前」になれば
この世界はどうなるだろう??
その価値観を体現しているのが、まさにフィジー人。
今回はその体験をシェアしたい。
帰宅できない自分を救ってくれたのは…
つい先日バヌアツからフィジーに帰国した。
飛行機がナンディに到着したのは深夜。
家の鍵を丁度持っていなかった僕は、マクドナルドで夜を明かそうという算段だった。
しかしマクドナルドに行くと、
「今日はもう閉店だから外で食べてください」とのこと。
聞くところによるとナンディのマクドナルドは
金曜、土曜のみ24時間営業のようだ。
外のベンチでチーズバーガーを食べ、
行く当てもなくどうしようかと考えている時だった。
「どうしたの?ホテルはどこなの?」
とひとりのおばちゃんが話しかけてきた。
おばちゃんはマクドナルドで働く清掃員。
事情を説明すると、困った表情をして何を言うのかと思えば
「ラウトカ(マクドナルドからバスで1時間ほど)に住んでいるんだけど、もうすぐ仕事が終わるから泊まりに来る?」
と、おばちゃん。
本当にいいの?と何度聞いても、
「Don't worry」
「It's OK」
と笑顔のおばちゃん。
フィジーに来て約3カ月。
フィジー人の計り知れない優しさに触れ、
心がぎゅっと締め付けられるような感覚になるときがある。
この時もそうだった。
その後、マクドナルドのマネージャーさんも登場し、
「どうしたの?ラウトカは遠いから家に来なさい」
と言われ、清掃員のおばちゃんと共にマネージャーさんの家に宿泊。
雑魚寝でかまわないと伝えたが、
家では暖かい布団と部屋を与えてくれた。
次の日の朝、朝ごはんを食べながらいろんな話をした。
「なんでフィジー人はいつも人を助けるの?なんでそんなに優しいの?」
素直な疑問を聞いてみた。
「これがフィジー人なのよ。理由は、、、特にないけれど、
当たり前のことよ。
私たちは自分たちの生活に満足しているからとても幸せよ。
だから困っている人がいれば助けてあげたい。
幼い頃からたくさんの愛と、自己肯定感を家族からもらって育ってきたわ。
私たちの心は愛で満たされているの。」
世界一幸せな国と言われるフィジー
その理由が少しわかったような気がした。
「損」か「得」に関係なく、
ただ目の前の人のために動くことが「当たり前」という世界。
そんな景色を死ぬまでに見てみたい。
そんなきっかけを自分が
自分の体験が
そして自分の写真が作れることを信じたい。
私たちの心は愛で満たされている
廣瀬智之 /Tomoyuki Hirose
1995年2月27日生まれ、滋賀県出身。大学1年時にカンボジアへ渡航し、日本にはない価値観や文化、また人のやさしさを体感。「開発と共に失われるもの」に関心を持ち、東南アジアや大洋州にて取材・撮影に取り組む。また写真展や講演、スタディツアーなどを企画し、日本人と途上国を繋げる活動にも取り組んでいる。
▽執筆した記事、写真はこちら
https://tomoyukihirose.wordpress.com/
▽お問い合わせ先
tomoyukihirose1234@gmail.com