Tomoyuki Hirose Journal

#新卒で社会起業家に挑戦中

後進国並みの報道の自由度ランキング!ジャーナリズムの役割と、日本のメディアの欠陥を解説

ジャーナリズムとはなにか―――

 

この問いにすぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか?

 

それくらい日本ではジャーナリズムの概念が定着していないように感じます。

 

今日はジャーナリズムが果たす役割と、

日本のジャーナリズムが抱えている問題点を書いていきます。

 

 

報じられたくないものを報じるのがジャーナリズム

権力の番犬という考え方

「ジャーナリズムとは報じられたくない事を報じることだ。それ以外のものは広報に過ぎない」。

 

イギリスのジャーナリスト、ジョージ・オーウェルが残した言葉です。

 

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(引用GEORGEORWELLNOVWLS.COM)

 

マスコミや報道機関の社会的使命のひとつに「権力の監視」があります。

 

一般的には、権力を監視するジャーナリズムは「調査報道」と呼ばれ、

英語圏ではそれを「番犬(ウォッチドッグ)」に例えられています。

 

なぜ権力を監視する必要があるのか。

それは絶対的な権力は、絶対に腐敗するからです。

 

イギリスの政治家ジョン・アクトンは、

「権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対に腐敗する」という格言を残しています。

 

権力者が、その権力を乱用しないように、監視をする。

 

 

それがジャーナリズムの使命の一つです。

 

三権分立の民主主義国家に、第四の機構

 

日本は民主主義国家ですが、民主主義国家は一般的に三権分立を基礎原理としています。

 

司法、行政、立法に権力を分散させているのです。

しかしこれだけでは民主主義は守れません。

 

権力が健全なものであるためには、先ほども述べた通り、

 

国民の監視が必要なわけです。

 

だからこそ、ジャーナリズムが求められます。

実はメディアは民主主義にとって必要不可欠な要素なのです。

 

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日本のジャーナリズムが抱える欠陥

後進国並みの「報道の自由度ランキング」

 

まず日本のジャーナリズムの問題点を説明するには、

報道の自由度ランキングに触れる必要があります。

 

報道の自由度ランキングは、毎年国境なき記者団が出している調査で、

180国の報道の自由度を、「国家による記者への抑圧」、「透明性の確保」、「自主規制の有無」など、項目別に調査して点数化したものです。

 

日本のランクはここ数年70位前後を推移しています。

ちなみに昨年は72位、今年は67位です。

 

同じランクにどんな国があるかというと、

66位はエルサルバドル、68位はレソト。

聞きなじみのない国だと思いますが、事実70位以下は後進国が名を連ねています。

 

もともと世界的に低かったのではなく、

9年前の鳩山政権時代は11位と、世界でもトップクラスでした。

 

rsf.org

 

記者クラブ制度

 

ではなぜ日本の報道の自由度は低いのでしょうか?

その理由の一つに、「記者クラブ制度」があります。

 

記者クラブは政府や自治体、業界団体などを継続的に取材するために、

新聞社や通信社、テレビ局など大手メディアに所属する記者で構成される組織です。

 

記者クラブには、マスコミ関係者がみな加入できるのではなく、

大手マスコミの記者しか加盟できない。

 

そのため独立系メディアやフリージャーナリストは、

記者クラブに加盟することができず排除されます。

 

この制度が、報道の自由制限していると指摘されているのです。

www.youtube.com

政治家とメディアが仲良い国、日本

 

自由度の制限以外にも、問題は多くあります。

その一つが、メディアと政治家の近い関係です。

 

2016年1月30日、池上彰氏は朝日新聞に、

「首相動静 安倍氏は誰と食事した?」という記事を寄稿しています。

 

そこでは、読売新聞の1月22日付の「安倍首相の一日」欄に、

『東京・大手町読売新聞東京本社ビル。渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長・主筆、清原武彦産経新聞社 相談役、芹川洋一日本経済新聞社論説委員長らと会食」と書かれていたことに触れています。

 

 

そしてこの後、大手メディアの会長や社長と個別に宴席を囲む「社長懇」は慣例化しています。

 

権力の番犬である、大手メディアの要職者が、 日本の首相と食事をしているのです。

 

こんな状態で、政治家を厳しく監視することができるのでしょうか??

 

広告収入に頼らざるを得ないビジネスモデル

 

皆さんご存知のように、メディアの収益モデルは、「広告モデル」です。

 

テレビや新聞で掲載される広告によって、その収益を賄っています。

これはすなわち、視聴者の数がそのまま収益につながるということです。

 

そうすると、より話題を呼ぶ、目を引くものを扱うようになります。

その結果、芸能人の不倫やゴシップネタばかりを報じて、

本当に伝えなければいけない時事ネタをおろそかにしてしまうという構造になってしまうのです。

 

また広告料の大きな割合を占める企業があれば、

その企業にとって不利益なことは報じられなくなります。

 

アメリカのニューヨークタイムズでは、

1社が年間広告料の1%を超えてはいけないというルールもあるようです。

そのため、スポンサーが広告を止めても経営に打撃は与えません。

 

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ジャーナリズムに「自己責任」をぶつける国民

 

さらにそこに、国民のジャーナリズムへの「無理解」が加わります。

 

ジャーナリストが危険な現場に行くことに対して、

「自己責任だ」「国に迷惑をかけるなら、行くな」などの主張を良く目にします。

 

しかし、それは消防士に、家事の現場に行くな。

警察に危ないから犯人に近づくなといっているようなものです。

 

ジャーナリズムが社会においてどのような役割を果たしているのかを、

私たちは理解する必要があります。

 

またジャーナリズムの役割が理解されない状態ということは、

ジャーナリズムがお金にならない状態です。

 

事実新聞の購読者は年々減っています。

これでは、質の高い報道を保てなくなってしまいます。

 

またアメリカでは視聴者がお金を直接払うモデルを導入した、

独立系メディアが存在していますが、

日本では実現することが非常に困難といえるでしょう。

 

www.democracynow.org

 

 

社会を守るために欠かせないジャーナリズム。

 

私たちはジャーナリズムの役割を理解し、

世の流れを知る責任を果たしていくことが求められます。

 

(了)

 

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廣瀬 智之(ひろせ ともゆき)

社会問題の解決を他人任せにしない世界へ。#新卒で社会起業家 に挑戦中。元開発メディアganas記者。「日本の社会・政治参加意識を高めるメディア事業」立ち上げ中です。

 

▼廣瀬智之ってどんな人?

 

www.tomoyukihirose.org

 

 

私立・公立高校やイベントで講演の依頼をいただいています。

これまでの取材写真や動画を用いて、社会問題、国際理解の講演を承っています。

 

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